地下流体調査(地熱・温泉・地下水)
- 断裂に伴う地熱流体がもたらした熱水変質を詳しく把握するために蓄積されたノウハウが生かされる。
- 地下水調査で行う電気探査では、比抵抗と別に電流曲線を作成し、地下水流動層をとらえる。
地熱・温泉や地下水の開発は地下における水の流動機構をいかにして正しく把握できるかどうかにかかっています。そのためいきなりボーリングを行なうのではなく、開発リスクをできるだけ軽減するため、開発の是非の判断を事前に行い、必要な調査や効率的な掘削計画をたてる必要があります。
地熱・温泉や地下水の地下における賦存状態は層状タイプと割れ目タイプの2つに大別されます。いずれのタイプも開発可能な深度に、地熱流体・温泉や地下水が存在するかどうか、またどのように分布するかを調査・推定することが必要です。とくに、割れ目タイプの開発には、地熱流体・温泉・地下水脈の分布が断裂に伴うため局所的であり、適切な深度で正確に当てることが必要です。すなわち、調査が不十分だと空井戸になったり、量・温度や成分の満足なものが得られなかったりします。
地熱・温泉や地下水の探査には、ある方法を1つ行えば良いという万能の特効薬はありません。
文献や空中写真などの既存データからまず大局を見きわめ、地表踏査から地下地質構造・断裂・熱水変質を推定し、地化学探査(放射能探査・水質分析等)によって温泉や地下水の地表での微候を調べ、物理探査(電気探査・電磁探査・重力探査等)によって地下構造をより精密に推定するというオーソドックスな手法をとるべきです。
また、私たちは、探査技術と経済合理性からみて必要最小限の調査を行うべきであるという考えに基づき、地熱・温泉・地下水調査を行っています。
土木・環境地質調査
変質岩・変形岩の理解を基礎にした土木地質、環境・防災地質他の調査
- 熱水変質帯はもともと開口断裂に沿って生成する。合せて生成時のpHや温度を考えると、その分布傾向がわかる。
- 付加体で変形した地質はデュープレックス構造を考えて分布を検討する。
変質岩とは、堆積岩・火成岩などといった岩石が、地熱や風化作用の影響により改変された岩石の総称です。そのため、粘土鉱物をはじめ様々の変質鉱物と呼ばれる鉱物が生じており、元の岩石が何であったのかの判定がしばしば困難となります。また、変質鉱物の種類によって、水を吸収して膨潤するもの(スメクタイトなど),地すべりや崩壊を起こし易い鉱物(スメクタイトや滑石その他),重金属を含む有害な酸性水を発生し易い鉱物(黄鉄鉱その他)など、土木工事や防災対策上注意を要するものが出現します。近年ではアスベスト問題もあります。一方、金その他の金属鉱床や地熱の探査に有効な変質鉱物(例えば明ばん石,ある種の沸石など)もあります。地熱探査では、熱水変質帯の解析が断裂解析とともに重要です。
私たちは付加体の変形岩ヤ熱水変質岩地域の踏査に強い地質技術者の集団です。さらにまた、変質鉱物や変質作用の特徴を正確に判定できるよう、岩石薄片の作製と偏光顕微鏡による観察,X線粉末回折,化学分析等を行って、精度良い解析を行います。これらと踏査や調査ボーリングのデータ等を総合的に解析し、適切なコンサルティングを行うよう努力しています。
遺跡・考古遺物調査
- 考古学と地質学との境界領域には、両分野が研究をしてこなかった広大な分野が存在。両者の境界領域を開拓することによって、考古学,地質学双方に役に立つ興味深い事実が明らかとなる。
硬質頁岩か?珪質頁岩か?
遺跡の報告書で、黒曜石の代替になるような剥片石器の石材はしばしば「硬質頁岩」と記載されています。地質専門家から見ると、硬質頁岩は北海道でいうと中新世の八雲層,東北日本では女川層やその相当層に典型的に含まれます。ところが、普通の硬質頁岩は通常の泥岩より固結度が高いものの、“パリパリ”と細片化し易く、剥片石器などの用途には使えないものがほとんどです。剥片石器として使われている石材を分析すると、通常の泥岩より著しく珪酸分が多く(SiO2 90%前後)、珪化変質を受けた泥質岩であることがわかりました。それでこのような泥質岩を地質学で言う硬質頁岩と区別するため、私共は「珪質頁岩」と呼ぶことにしました。さらに、このような珪質頁岩の分布を渡島半島で捜したところ、八雲層相当の泥岩(~硬質頁岩)に流紋岩~デイサイト,安山岩,玄武岩~ドレライトなどが貫入した接触変質帯に形成されていることがわかりました(藤田ほか,2005)。さて、珪質頁岩化していると言っても、元来は泥として堆積したわけですから、それを供給した後背地の地質が異なれば、その化学組成も微妙に違ってくることが考えられます。それで渡島半島の珪質頁岩を広く採取し、化学分析を行ったところ、産地によってある程度グルーピングできるらしいことがわかってきました(加藤ほか,2006)。黒曜石のように具体的に岩体を特定できるようにはなり得ませんが、今後、各産地の珪質頁岩の分析値が増えれば、産地を大局的に区別できる可能性(と、その限界)が見えてくると思っています。


チャートか?珪化岩か?
チャートと細粒の強珪化岩は見間違え易く、特に赤色のチャートと赤色の強珪化岩は間違え易いことが知られています。いずれも微小な石英の集合体で、赤色のものは少量の赤鉄鉱を伴っているからです。チャートは一般に付加体に取り込まれた岩石で、変形していたり、放散虫遺骸を含んでいたりしますが、これらの特徴は必ずしも見られないことがあります。チャートにはまた、再結晶により微細な石英脈を伴うことがしばしばあります。一方、強珪化岩は火山活動の熱水変質作用に伴って、凝灰岩などが珪酸分に富むようになったものと考えられます(晶洞に沈澱したものは、めのうなど)。
かんらん岩か?蛇紋岩か?緑泥石岩か?
ある旧石器遺跡に出土した玉類に「かんらん岩」との説明があり、「蛇紋岩」ではないかと思った筆者の1人は、学芸員とともにEPMAによる非破壊分析を大学にお願いしました。その結果を見て驚いたのですが、緑泥石の集合体で「緑泥石岩」と呼ぶべき岩石でした。かんらん岩どころか、蛇紋石からなる蛇紋岩でさえなかったのです。微量のクロム鉄鉱を含み、このことから元来はかんらん岩(~はんれい岩)や、それから変質した蛇紋岩であったのだろうと思います(岡村ほか,2003)。
ところが、ことはそれに留まらず、各地の縄文遺跡から出土する蛇紋岩様の玉類は、分析すると、滑石(タルク)岩や、ごく稀に蛇紋岩の場合がありますが、大部分が緑泥石岩化していることがわかりました。
すると玉類の作製者は、風化し易く壊れ易い蛇紋岩でなく、意図的に緑泥石岩をどこかから採取したことになります。
緑泥石岩の産地はどこにあるのでしょうか? どこかの蛇紋岩体の一部にあるのでしょうが、今のところ確実なことが言えない状況です。しかし、最近北海道平取町の蛇紋岩分布域に緑泥石岩の転石が多くあることがわかりました(岡村ほか,2018)。
なお、「かんらん岩」と記載されている石材を確認してみて、本当にかんらん岩(元のかんらん石が残っている)であったことは、筆者らの経験としてはまだありません。



地質・資源情報の収集,ジオパーク
私共は、業務として従来より「自然史博物館の展示構想」,「研修への講師派遣」,「地質見学旅行の計画・案内」などを含む「地球科学的研究成果の情報収集と普及」を行ってきました。また、ジオパーク運動の盛り上がりは喜ばしいことで、会社の業務としても、またボランティア活動としても参加してきました。これまで蓄積してきた地質情報や技術・研究のノウハウを生かして地質専門家としての立場から、地域の活性化や地質の後継者の育成にも寄与したいと考えています。
これまで、日高山脈博物館,白滝ジオパーク交流センター,アポイ岳ビジターセンター,札幌市博物館準備センターなどの展示構想にかかわっています。
ジオパークとしては白滝,アポイ,鹿追の活動に協力したほか,旭川や八雲のジオパーク準備会の活動にかかわってきました。

地形・地質構造解析
- 地形判読は土木地質・防災地質(地すべり,活断層)、地熱・温泉調査(リニアメント→断層)の基礎。
- 断層や変形構造がノンテクトニックかテクトニックかに注意して構造解析を行う。
(加藤,2012)
地表地質踏査
断裂・熱水変質・付加体・蛇紋岩
- 地表踏査を行わずして、地価の地質の正しい判断はできない。
- 物理探査の解釈の成否は地表踏査にかかっている。
一般に地表踏査では以下のようなことを行います。
- 地形を観察する。
- 沢や道路に露出する地質の種類,変質および断裂を調べ、走向・傾斜等地質情報を測定・記載する。
- 確認した露頭の記載(色調・岩石種・変質区分),サンプリング,写真撮影を行う。
- 目的によっては湧水や表流水を簡易水質測定器を用いて、気温,水温,pH,電気伝導度を測定する。
- 目的に応じて、地質図,地質構造図,変質区分図,水質分布図などを作成する。
- 必要に応じて、地質断面図を作成する。
- これらをもとに、ボーリングデータや物理探査データの解釈を行う。

